硝子体注射について
硝子体注射が効果を示す疾患には、黄斑に異常が生じる網膜静脈閉塞症、糖尿病黄斑浮腫、滲出型加齢黄斑変性などが挙げられます。硝子体注射薬として、抗VEGF薬のルセンティスやアイリーア、ステロイド薬のマキュエイド等があり、1度の注射で症状が改善するケースもありますが、定期的に注射することにより高い効果が期待されます。
方法
治療3日前から抗菌点眼薬で感染予防を行い、注射当日は瞳孔を広げる散瞳薬と麻酔薬を点眼します。続いて、目と周囲の消毒を行い、白目から微細な針を刺し、硝子体注射を実施します。
治療後
注射後に感染症を防ぐ点眼薬と注射部分へ軟膏を使用し、異常がなければお帰り頂けます。当院を出る時は眼帯をつけて頂きますが、数時間後には外して構いません。約1週間で注射の効果が見られます。治療当日は2時間おきに抗菌点眼薬を差し、翌日以降は1日に4回の点眼を3日間続けて頂きます。また、治療翌日にご受診頂き、状態を見て必要があれば再注射を行います。
費用
1割負担 | 3割負担 | |
硝子体注射 | 18,000円程度 (片眼) | 55,000円程度(片眼) |
硝子体手術について
硝子体とは
硝子体は透明なゲル状の組織で、眼球内の大部分を満たし、物を見る時に大切な働きをしています。そのため、硝子体の出血による炎症、濁り、網膜の牽引などで深刻な視力低下を引き起こす恐れがあります。対象となる疾患により異なりますが、硝子体手術の主な目的は新生血管、混濁した硝子体、病原菌を取り除くことです。
硝子体手術が必要な疾患
硝子体出血
硝子体出血は出血部位から漏れ出た血液が硝子体内に入って貯留した状態です。硝子体に血液が入ると網膜へ外からの光が到達しないため、見えにくいなど日常に影響を及ぼします。
糖尿病網膜症
糖尿病による高血糖状態が続き、網膜に分布する毛細血管が血流不足となり出血や黄斑部の浮腫が生じる疾患で、視力低下を引き起こします。進行すると破れやすい新生血管ができるため、新たな出血や網膜剥離に繋がります。
網膜剥離
硝子体と網膜の癒着が強力な場合、硝子体による牽引や液化のため網膜に切れ目が生じます。ゲル状の硝子体が液化することで空間ができ、その空間から水分が流れ込むために網膜剥離が起きます。網膜剥離は進行すると失明リスクが高い重大な疾患です。
網膜静脈閉塞症
網膜静脈閉塞症は網膜に集中している静脈が動脈硬化や高血圧によって詰まり、血液の漏出が生じることで、眼底出血や黄斑浮腫が起きる疾患です。視野欠損、視力低下、対象物が歪んで見えるなどの症状を生じ、適切な治療を行わなければ網膜剥離、硝子体出血、血管新生緑内障に繋がる場合があります。
黄斑円孔
網膜中心に位置する黄斑部に小さな孔ができる疾患で、視野の中心が見えず視力低下が生じます。初期に発見して治療を開始することで視力が戻りやすくなります。
黄斑前膜
黄斑部を含んだ網膜後極部に膜ができ、その膜が縮んでしわができるため視力低下や物が歪んで見えるといった症状を引き起こす疾患です。
手術
硝子体手術は局所麻酔と点眼麻酔を併用するため、痛みを感じることはほとんどありません。手術時間は疾患により異なり、難しい症例では2時間以上の場合もありますが、通常約30~60分で終わります。医療技術の進歩により、安全性も向上し、手術中の会話も可能になりました。とはいえ、再発リスクが全くないわけではありません。また、手術に伴い網膜剥離や感染症などが生じる恐れがあり、この場合は再手術を実施します。
費用
70歳未満の方(3割負担)
手術費用 | 150,000円程度 |
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70歳以上の方
自己負担上限額が定められていますので以下の金額になります。
1割・2割 | 18,000円 |
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